日本製紙グループが取り組む環境保護のカタチとは?紙をつくること・使うことは、環境を守ること。
洗面所やキッチンの片隅に、あるいは大切な誰かに手紙をしたためるとき。私たちの暮らしのすぐそばには、当たり前のように「紙」があります。そのルーツが「木」であることは知っていても、どのようにして木が紙に姿を変え、私たちの元へ届くのか、その旅路を知る機会は少ないかもしれません。
今回は、木が紙に生まれ変わるまでの技術や、私たちが未来のためにできる「賢い選択」について、グループ全体で進めている取り組みについてもお話しします。
目次
紙をつくることがなぜ環境保護に繋がるのか?
森から切り出された木は、製紙工場で紙に生まれ変わり、人に使われ、役目を終えると回収されてまた工場に送られ、カタチを変え再び暮らしのそばへ。日本製紙クレシアが所属する日本製紙グループは、その全ての循環に関わっています。
木を伐り、紙をつくり、使うことが、じつは環境保護に繋がる――。紙の旅路を辿ってその事実を一緒に見ていきましょう。
木や古紙から紙へ。知っておきたい原料「パルプ」のはなし
ところで、「パルプ」という言葉を耳にしたことはありませんか。パルプとは紙の原材料のことで、木材から繊維を取りだした「木材パルプ」、木材以外の植物繊維でつくられる「非木材パルプ」、使用済みの紙や古紙を断裁して再生する「古紙パルプ」の大きく3種類があります。

木や植物、古紙はまず製紙会社の工場でパルプへと姿を変えます。パルプを溶かして液状化する工程と、液状パルプから紙をすく抄紙(しょうし)工程を経て紙に生まれ変わります。
日本製紙グループでは、木材を細かくした木質チップを薬品で煮込んでつくる「化学パルプ」、機械ですりつぶしてつくる「機械パルプ」、そして「古紙パルプ」を用途に応じて使い分け、さまざまな紙の商品を私たちの暮らしへと届けています。
森を守りながら木を使う。日本製紙グループが繋ぐ「3つのバトン」
製紙会社というと「紙をつくる会社」というイメージが強いかもしれません。けれど、私たちが手がけているのは紙だけではありません。紙の原料となる木を育てるための森づくりも、木を使う企業として欠かせない大切な仕事です。
森は、きれいな水を育み、雨を受け止めて洪水や土砂災害を防ぎ、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を吸収するなど、さまざまな形で暮らしを守っています。それは、さまざまな生き物が安心して暮らせる環境を保つ役割を果たすことでもあります。
日本製紙グループは、木を「育てる」「余すことなく使う」「生まれ変わらせる」という3つのバトンを繋ぐことで、森を守っています。その内容についてご紹介します。
【森林資源の循環】伐って、使って、植えて、育てる
日本製紙グループは、日本でも有数の森林を持つ企業として、国内外に約16万ヘクタール(東京ドーム約3万4千個分)、そのうち国内では約9万ヘクタールの社有林・植林地を管理しています。※2025年末時点

木は、育ち盛りの子どものように、若くて元気に成長するときほどCO2をたっぷり吸収します。一方、十分に成長して成熟期を迎えた木の吸収量は減少します。だからこそ、「成長した木をしっかり使い、新しい木を植えて育てる循環を回す」ことが、地球の温暖化を防ぐ大きな力になります。
また、私たちが管理する森のうち、苗を育てて植える人工林は、同じ時期に植えられた、同じように成長する森のため、そのままにすると枝葉が混み合い、森の下層に太陽の光が届かなくなってしまいます。
そこで大切なのが、一部の木を切ってすき間を作る「間伐」という作業です。間伐により、すき間をつくってあげることで地面に光が届き、残った木々の幹や根が太く丈夫に成長します。下層の植物が丈夫に育てば、雨による表土の流出や土砂崩れを防ぐことにも繋がります。

このように健全な森を育てるために、「木を伐ったら植え、育てる」というお世話をし続けることも私たちは日々行っています。
【製品とエネルギーの循環】木を余すところなく使い切る
木を余すことなく使い切ることにも注力しています。
例えば、紙を作る工程で発生する黒液などを、工場を動かす燃料(バイオマス燃料)として活用しています。化石燃料に代わるエネルギーとして木を使うことで、化石燃料への依存とCO2の排出を抑えることができます。
そのほか、紙製品以外での木の有効活用方法として、セルロースナノファイバーなどの新素材、化成品の開発・活用に向けた研究も進めています。
パルプ製造時に得られるヘミセルロースを原料に製造される動物の健康維持・増進に貢献するサプリメント製品「トルラプラス®」もその一つ。

トルラプラス®を畜産動物の飼料に混ぜて与えることで、畜産動物の成長促進や免疫・腸内環境の安定化を助ける効果が確認されています。
日本国内の畜産農家の需要も高く、2025年度には増産設備を導入しました。
このように紙の製造工程で発生する木の有効利用かつ新たな活用法に向けても日々研究を重ねています。
【リサイクルの循環】使ったあとも、もう一度生まれ変わらせる
お届けした製品が役割を終えた後も、循環の旅は終わりません。お家やオフィスで分別された古紙は再び大切な資源として回収し、独自の技術によって新たな紙商品へと生まれ変わります。
クレシアでは、埼玉県草加市の小中学校や地域で子供たちが集めてくれた「牛乳パック」や「空き箱」を新しい紙商品へ繋ぐ活動をはじめ、Jリーグ「鹿島アントラーズ」のホームゲームでサポーターの皆さんと「ティシューの空き箱」「トイレットペーパーの芯」「飲料用紙パック」を持ち寄る『#箱芯パックチャレンジ』など、地域やスポーツの力を借りて循環の輪を広げています。

このほか、日本製紙グループの日本紙通商では、使用済みの紙コップや紙パックをアップサイクルしたオリジナル布製品ブランド 「choito®」の展開を進めています。


これまで使用済みの紙容器類は、衛生面や技術面の課題から、リサイクルが難しく、その大半が一般ごみとして廃棄処理されているのが実情でした。
しかし、この課題を解消するため、2022年10月から日本製紙の富士工場で新しく食品・飲料用紙容器類専用のリサイクル設備を稼働させ、高品質・高白色のリサイクルパルプ生産が可能になりました。choito®では、リサイクルパルプを配合して漉いた和紙を細長くスリットし、よりあわせて作る“古紙入り紙糸”を使用。ハンカチタオルや巾着などの布製品へと生まれ変わらせています。
現在はスポーツチームや宿泊施設、イベント会場など様々な場所で使用済み紙コップ・紙パックの回収にご協力いただいています。捨てられていたごみを削減し、再び価値ある資源として有効活用するために、多くの企業や団体と連携しながら、「紙to紙」や「紙to糸/布」といった持続可能な資源循環の輪を広げています。
暮らしの心地よさと環境問題のバランス。クレシア製品の「心地よさ」の理由
紙を使うことが、実は私たち一人ひとりが間接的に森林保護の活動に関わっていることをおわかりいただけたでしょうか。
毎日の心地よさと、地球環境への配慮。この2つは、決して相反するものではありません。
私たち日本製紙グループは、森が育む「木の個性」を活かした独自のブレンド技術で、肌への優しさと持続可能な未来の両立を目指していきます。
クレシア商品の肌ざわりや心地よさも、森の多様性から生まれる
クレシアの商品には、「ふんわり柔らかいもの」もあれば、「水に濡れても破れにくいしっかりしたもの」もあります。
世界中の豊かな森から届く「針葉樹」と「広葉樹」という2つの木を、用途に合わせて絶妙なバランスでブレンドし木の個性を活かすことで、使う人の肌にも地球にも優しい、毎日快適に使える肌触りを実現しています。
一般的には広葉樹は繊維が短く、しなやかで柔らかい紙に適し、針葉樹は繊維が長く、強度のある紙づくりに適しています。
毎日使い続けたくなる心地よさも、森の多様性に支えられているのです。
これからも「心地よさ」をつくるために。日本製紙グループの想い
私たちが大切にしているのは、木を「育てる」「余すことなく使う」「生まれ変わらせる」という3つのバトンを未来へ繋ぐこと。
さらに、自社で管理している森だけでなく、外部からお預かりするすべての森林資源についても、持続可能性に配慮した森林経営が行われているかを自分たちの目で厳しく確認した上で調達を行っています。
これからも、みなさまの毎日に寄り添う「心地よさ」を守り続けるために。日本製紙グループは、未来の森と暮らしに責任を持った取り組みを進めていきます。
朝比奈信哉氏
日本製紙クレシア株式会社 資材部 部長からのコメント
毎日当たり前のように使われる製品だからこそ、原材料の選択は非常に重要だと考えています。当社は日本製紙グループの一員として、環境と社会に配慮した持続可能な原材料調達に努めています。
具体的には、森林認証制度の活用や、グループ調達方針・指針に基づく独自のアクションプランのもと、サプライヤーとの対話を通じて、原材料の最上流からサプライチェーン全体の構築に取り組んでいます。
暮らしに寄り添う製品として皆様に安心してお使いいただけるよう、これからも責任ある原材料調達を続けてまいります。
※所属は取材当時のものとなります
1枚の紙を大切に使う「名もなき習慣」が未来を変える
人の手によって守られ、私たちの暮らしを便利に、快適に支えてくれる紙。しかし、その原料となる木は、何もしなければいつかは尽きてしまう有限な自然資源でもあります。
一方、一人ひとりが木の恵みであることを意識して無駄なく、大切に使い、その先のリサイクルまで心がければ、持続可能な資源として循環させることができます。
クレシアは日本製紙グループとともに、これからも森を守りながら、暮らしを支える紙づくりを続けていきます。
あなたも今日使う1枚の紙を大切に扱うことから、森と繋がる暮らしを始めてみませんか。その小さな行動が、未来の森を守る力になります。
太刀川寛氏
日本製紙株式会社 グリーン戦略推進部 部長からのコメント
日本製紙グループの事業基盤は森林および森林資源です。森林は木材生産の場だけでなく、CO2の吸収や水源保全、土砂流出や洪水などの災害防止、生物多様性の確保など様々な機能を持っています。
当社グループは、こうした多面的な機能を持つ森を守り育てること、そして、生み出される木材を余すことなく活用し、バイオマス製品を拡大することで、さまざまな社会課題の解決に貢献していきます。
このグリーン戦略を推進することで、世界の人々の豊かな暮らしと文化の発展に貢献していきたいと考えています。