夏休みの自由研究に!おうちでできる「紙すき体験」と知れば毎日がちょっと愛おしくなる紙のヒミツ
夏休みも終盤。「夏休みの自由研究、今年は何をしよう……」と、頭を悩ませている親御さんも多いのではないでしょうか。せっかくなら、子どもが楽しみながら学べて、親子の思い出にもなるテーマを選びたいですよね。
そこで今回おすすめしたいのが、身近なトイレットペーパーを使った「簡単紙すき体験」です。紙すきとは、植物や古紙の繊維(パルプ)を水に溶かして薄く平らに広げ、乾燥させて紙を作る伝統的な作業のことです。毎日何気なく使っているティッシュやトイレットペーパーですが、「どうやってできているんだろう?」という疑問からスタートすると、世界がガラリと変わって見えてきます。
衛生用品を通じて暮らしに寄り添ってきた日本製紙クレシア(以下、クレシア)には、紙のことを日々考え、ものづくりに向き合っている人たちがいます。今回は、ものづくりのプロの視点も交えながら、おうちで手軽にできる紙すきのコツと、知ると誰かに話したくなる「紙ができるまで」の物語をお届けします。
目次
自由研究に必要な道具はこれだけ!100均で揃う「紙すきグッズ」
実は家にあるものでも紙をつくることができます。それは、トイレットペーパーや牛乳パックなどの「紙」。トイレットペーパーは水の中でほぐれやすく、牛乳パックに使われるパルプがトイレットペーパーなどの紙製品の原料の一部として活用されることもあります。こうした紙は、水でほぐして形を整え、乾かすことで、もう一度紙に変身します。
おうちでできる「紙すき体験」のステップを紹介します。
やってみよう、簡単5ステップのリサイクル紙づくり
つくりかたは簡単、5ステップ。100円ショップで揃う道具を準備して、今回はトイレットペーパーを使った紙すき体験を早速実験してみましょう。
【準備するもの】
- トイレットペーパー 7きれ
- 水切りネット
- タオル
- サラダボウル
- 平ザル
- シェイカー(フタつき容器)
- 水のり
- 水 300㏄

【つくりかた】
1)水にトイレットペーパーを溶かす
- シェイカーに水を300cc程度そそぐ
- トイレットペーパー7切れを細かくちぎって加える
- 水のりをチューブから2㎝出して加える
- シェイカーのフタをしっかり閉めてよく振り、どろどろの「パルプ液」をつくる

2)平ザルにパルプ液を流し、紙をすく
- サラダボウルの上に、平ザルと水切りネットを置く
- 平ザルと水切りネットに1)でつくったパルプ液をすべて流し込む
- 手でパルプ液を平らにする
パルプ液を平らにするときに、自分の好きな形をつくってみよう!

3)水をきる
- 水切りネットをもう1枚パルプ液の上に置く
- 手で上から押しこむようにして水を切る
- 水切りネットに挟まれたパルプ液をタオルに挟んで、さらに水をきる

4)紙を乾かす
- タオルと水切りネットを外し、ペーパータオルや新聞紙の上で乾かす

5)できあがり
- 乾いたことを確認したら、完成!
つくった紙でお手紙を書いてみよう!
「紙」って何からできているの?木が紙に変身するまで
紙すき体験はいかがだったでしょうか。紙は、水でほぐして形を整え、乾かすことで、もう一度紙に変身できることを実感してもらえたと思います。
では、実際に私たちが普段使っている「紙」は、なにからできているか、どうやってできているか、知っていますか?
意外と知らない、木が紙に変身するまでを3つの疑問を入り口に考えてみましょう。
- 紙は、なにからできている?
- 紙をつくるために欠かせない3つの仕事とは?
- 紙は、どのように作っている?
紙は、なにからできている?
答え:「木」。
紙の定義とは「植物の繊維を水中で分散させ、平たくすいて乾燥させて作られたもの」。人類が最初に紙を生み出したとされる紀元前2世紀ごろの中国では、古くなった麻布や樹皮を用いて紙がつくられていました。そして現代では、樹木の繊維が紙の主な原料となっています。
紙をつくるために欠かせない3つの仕事とは?
答え: 林業、製造業、運送業。
原料となる木を育て切って集める「林業」。木を細かくし、そのなかから紙のもととなる繊維(パルプ)を取り出して、紙へと加工する「製造業」。材料となる木や、工場でつくられた商品を運ぶ「運送業」。これら3つの仕事が支え合い、紙は日々つくられています。
それぞれどのような役割を担っているのか見てみましょう。
| 仕事 | 役割 |
|---|---|
| 林業 | 紙づくりはまず、木を育て・切る林業の仕事からはじまります。 森から切り出した木は、太い幹の中心など丈夫な部分は家具や家を立てる木材となり、樹皮は主に燃料として生かされます。それ以外の「は材」や枝、曲がった木、さらに森の環境を整えるために切られた「間ばつ材」などが、紙の原料となります。 一見、捨てられてしまいそうな木の皮や小さな破片も、大切な資源として活用されています。 |
| 製造業 | 木を細かくして木材チップにし、そのチップから紙のもととなる繊維(パルプ)を取り出して、紙へと加工するーこれらが製造業の仕事です。製紙工場では、運び込まれた原料を使って毎日、絶え間なく紙がつくられています。 |
| 運送業 | 木材チップを製紙工場まで運んだり、工場でつくられた商品をお店や倉庫へ届けたりする重要な役割を持っています。輸送には、船やトラック、鉄道などが使われます。原料や商品をつなぐ「運ぶ」仕事がなければ、紙をつくり、届けることはできません。 |
紙は、どのように作っている?
答え:取り出す・調合する・伸ばす
製紙工場では、大きく分けて3つの工程で紙がつくられています。
- 原料からパルプを取り出す
- 複数のパルプや薬品を調合する
- 調合した原料を薄く伸ばす
また、一度使用した紙=「古紙」もまた、紙の製造の大切な原料のひとつとなっています。森で木を切り、運ぶのと同様に、回収され、運搬されて製紙工場へと運ばれて新しい紙に生まれ変わっています。
比べてみよう!クレシア商品で検証する、さわり心地の違い
前の項目で、「紙は主に木からできる」ことをお伝えしました。
しかし、「木」とひとくちに言っても種類はさまざま。その種類によって、紙の質感や性質が変わってきます。
木から取り出した繊維(パルプ)の組み合わせを研究し、「どうすればもっと肌に優しいやわらかさになるか」「水に強くなるか」といった新しい紙のレシピを考え、開発されたレシピをもとに、紙をつくっています。
選ぶ木によって紙の「ざらざら・ふわふわ」が変わる?
丈夫な紙をつくる「針葉樹」、やわらかい紙をつくる「広葉樹」
紙の種類を左右する木の種類は大きく分けて2つ。スギやマツのように細い針のような葉をもつ「針葉樹」と、ユーカリやブナのように葉が平たく丸い「広葉樹」です。
それぞれの特徴と、紙にもたらす特性の違いを見てみましょう。
主に寒さの厳しい地域でよく育つ「針葉樹」。光を求めて上に高く育つ性質があり、繊維が長くなります。幹が太くしっかりしていることから、破れにくい丈夫な紙をつくることに適していると言われています。

一方で、暖かくさんさんと光の当たる環境で育ったユーカリやブナなどの「広葉樹」は、針葉樹に比べて繊維が短いのが特徴。幹がしなやかに曲がるように、その感触はふわふわとやわらかく、これを多く含んだ紙はやわらかくてなめらかです。

| 項目 | 針葉樹 | 広葉樹 |
|---|---|---|
| 木の特徴 | まっすぐ高く育つ木が多い | 葉っぱが広く、種類が多い |
| 繊維の特徴 | 繊維が長い | 繊維が短い |
| 紙にしたときの特徴 | 絡み合いやすく、丈夫になりやすい | 表面がなめらかで、やわらかくなりやすい |
| たとえ方 | 長いひも | 短い綿のような繊維 |
紙をつくる際には、こうした植物の特徴と、つくりたい紙の丈夫さ、硬さ、柔らかさなどに合わせて配合が行われているのです。
また近年は、バナナや竹など、さまざまな植物の繊維で紙をつくる試みも生まれています。
中身が変わればさわり心地も変わる
「紙の原料(中身)が変われば、さわり心地も変わる」ということを知っていただけましたでしょうか。
では、新しい原料のみでつくったティッシュと、古紙などのリサイクル素材を加えたティッシュのさわり心地の違いはどうでしょう。
バージンパルプ(新しいパルプ)でつくられたクリネックスと、一部リサイクルパルプを使用したスコッティを実際に触って比べてみましょう。


クリネックスはふわっとやわらか、スコッティはさらっと軽やかなさわり心地を感じましたか?
リサイクルパルプは、一度水でほぐしてもう一度紙にする過程で、繊維が以前より短くなったり、弱くなったりします。そのため、新品の木の繊維からつくるバージンパルプよりも密集し、ふわっとしたやわらかさを出すことが難しくなるという実情がありますが、当社の技術を取り入れ、表面を特殊加工することで、さらっと軽やかなティシューに仕上げています。
木の小さな端材も、使い終わった紙も、すべて「紙」という資源に。たくさんの人の手を経てもたらされた素材を生かし、用途に合わせて調合を変えながら、それぞれの場面に役立つ紙がつくられているのです。
クレシアによる紙すき体験イベント開催

木から紙が生まれるまでや、紙がどのようにできているかを多くの子どもたちに知ってもらうため、クレシアでは、親子で行う紙すき体験イベントを開催してきました。
参加した小学生からは、「紙が木からできるって、やってみてはじめてわかった」「牛乳パックからもう一度紙になるのがびっくりした」「もうノートを無駄遣いしない!」など、驚きや発見を喜ぶ声が多く聞かれています。
保護者からも「自由研究にもぴったり」「家にあるものの見方が変わる体験だった」といった反応が。親子で一つの紙をつくりあげる喜びを感じながら、出来上がった紙を大切に持ち帰る姿も毎回印象的です。
紙すきをうまく仕上げるコツは、紙のもとをしっかりほぐすこと、厚くしすぎないこと、そして乾くまでやさしく待つこと。イベントでは、子どもたちが失敗をこわがらずに楽しめるよう、スタッフが見本を見せながら一つひとつ丁寧にサポートしています。
私たちは「木から生まれた紙」に囲まれて暮らしている
木から生まれた「紙」に囲まれて暮らす私たち。
紙は長い歴史のなかで暮らしに深く根づき、今では当たり前の存在となりました。だからこそ、日々の暮らしのなかではつい、忘れてしまいがちです。
しかし、改めてその成り立ちや製造工程を見つめてみると、紙という資源の大切さや手元に届くまでに用いられているさまざまな技術、そしてリサイクルの可能性など、多くのことに気づくことができそうです。
身近だからこそすぐに始められて、発見がいっぱい。夏休みももうあとわずか。今年の自由研究はぜひ、「紙」をテーマにしてみませんか。
トイレットペーパーを細かくちぎって加えるときに、一緒にデコレーション用の画用紙などを入れてもOK!